上塚耳鼻咽喉科

お知らせとコラム

花粉症

ハーックション ハーックション くしゃみが連発、サラサラな鼻水が止めどもなく出てきて、両方の鼻が完全につまり、鼻で息ができない。おまけに目も痒く、涙がでるこのような症状でお困りの方は沢山おられます。アレルギー性鼻炎の典型的な症状なのです。日本人の約3分の1が喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患に罹っているといわれています。
アレルギーの起こるメカニズムは、花粉やほこり等の抗原が、繰り返し体内に入ることから始まります。やがて、その抗原に特別に反応する抗体が出来ると、抗原と抗体が反応してアレルギーの反応が起こり、その結果ヒスタミン等の物質が出てきます。それが血管,神経を刺激して、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ等の症状をおこすのです。原因となる抗原が植物の花粉であるものを、花粉症とよんでいます。

 

花粉カレンダー
わが国では、沢山の樹木や雑草、花が花粉を飛ばします。
2月の中旬から5月まではスギ、ヒノキ、ハンノキ属。
初夏になると、カモガヤ、ギョウギシバなどイネ科の植物、秋になればブタクサ、ヨモギ、などキク科の植物が花粉を撒き散らします。
冬の一時期を除き、まさに日本列島は花粉列島でもあります。

 

スギ、ヒノキの花粉
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現在花粉を飛ばしているスギ、ヒノキは、第二次大戦後に計画的に植林されたもので、まさか今日のような、コンクリートとか新建材が建ち並ぶ姿は想像もしなかったのでしょう。こつこつと、整然と植林されたスギとヒノキの植林面積は、国土全体のおよそ20%にもなりました。樹齢30年~80年の若い成木のみが花粉が飛ばしますから、1980年頃からスギ花粉の患者さんが急増したのは、時代の背景と合致します。
スギの花粉の一粒の大きさは30ミクロン(100分の3ミリ)と非常に小さな粒子です。
1本の木には約20億個の花粉が着いているとされていますから、風にあおられ、いっせいに飛び出すと光景は、すさまじく、しばしば山火事と間違われることもあります。
花粉の飛散量は、前年の7月、8月の気候に左右されます。高温で乾燥、すなわち暑くて雨の少ない夏であれば花芽がたくさん付きます。花芽はクリスマス時分に冬眠から覚め、その時からの最高気温の積算が200~250度になると開花して、花粉を飛ばします。花粉のような小さな粒子は風に乗れば300kmも飛びます。阪神間は北からの季節風に乗って県中央の植林地帯から多量に飛散します。

 

ヤシャブシは曲者だ
花崗岩からなる六甲山では土砂災害に悩ませられ、治水を目的にハンノキ属のヤシャブシを植えました。六甲山のドライブウエー路肩にも、ハイキングコースのあちら、こちらに見られます。スギとヒノキの飛散時期に少し時間差ありますが、この空白時間を埋めるようにヤシャブシの黄色い花から花粉が飛びます。抗原性が強く、悩まされている人も多い厄介な存在です。

 

花粉症治療
薬物療法が中心となります。最近開発された第二世代の坑ヒスタミン薬は、良い効果があります。飛散時期に応じて早くから服用すると、花粉シーズンの症状を軽くすることが期待できます。又症状に合わせて薬を飲み分けると、より一層の効果があります。その他、減感作療法、手術療法があります。

日常生活の注意点

  1. 室外では
    外出時にマスク、眼鏡の着用
    ウールなどのコートは避ける
    花粉情報に注意をして、不要な外出は避ける
    衣服に付着した花粉は室内へ持ち込まない
  2. 室内では
    花粉の多い日には、洗濯ものは干さない
    窓や戸を閉めておく
    帰宅後の手洗い、うがいの励行
    規則正しい生活でストレスをためない